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夏は「心(しん)」の季節、心が関わる様々なこと

2018-05-12
日中にはすっかり気温も上がり、汗ばむこともしばしばですね。ポカポカとした陽気が心地いい時期です。
 
立夏を過ぎました。二十四節季の立夏~立秋までは暦の上で夏になります。五行で「火」にあたるのが夏です。太陽の作用が最大のときであり、燃えさかる「火」は上へ上へと向かって広がります。人体の中で「火」の属性を持つ臓腑は熱源である「心」であり、血液は全身に運ばれて体温を保ちます。食べ物を吸収し、エネルギーに変えて熱源とする小腸も「火」の属性となり、夏に関係の深い臓腑となります。
 
夏は一年で一番エネルギーが旺盛な季節です。気温も上がり活発に活動が出来るようになってきます。活動が活発になれば血液の循環もそれにあわせて活発になります。ですから心臓、循環系が活躍する季節です。生物の生殖活動も盛んになります。そして、そのためにはたくさんの栄養を必要とします。その栄養を取り込む消化吸収の牽引役は小腸です。夏は「心」や「小腸」が旺盛に働いてくる時期というふうに考えます。
 
また、「心」は中医学では精神が宿る臓腑でもあり、意識や思考、睡眠などを支配しています。血液の問題、熱の循環、意識障害などがある場合は、「心」がオーバーヒートし弱ってしまったということです。感情では、「喜び」が「心」に関係しています。喜びは、極陽性の感情なので喜び、ドキドキして心は亢進します。でも、それを越してしまうと心臓に負担が大きくかかります。そのため、行事が続いた後、楽しかったのに疲れ切ってしまい、具合が悪くなり気力も低下するという事がおこります。喜びが心に負担を与えてしまうというのはイメージが付きにくいかもしれませんが、要は、テンションが上がりすぎちゃって、ある時点でフッと疲れ切ってしまうようなことでしょうか。このような状態が繰り返し続いて心が弱ると、中枢神経系の不調につながることがあり焦燥感、イライラや動悸、不眠、不安、口内炎、舌の炎症といった症状が現れます。また、心そのものの疾患として血行が悪い、顔色が悪い、手足の冷え、顔ののぼせ、立ちくらみ、不整脈、狭心症、心筋梗塞、高血圧などにつながることもあります。
 
小腸の機能障害による症状ですが、「心」は消化吸収を担う「脾」とも深い関わりがあります。心が消化吸収した栄養を血液に載せ身体を循環させることを考えると、この関係性が深いこともわかります。小腸が弱ると、焦りや焦燥感から始まり、口内炎、排尿時の焼けるような痛み、残尿感、尿の色が濃いなど一見腎臓に関係しているような症状がみられることがあります。小腸で吸収された栄養が血液となって循環し、肝臓で分解・解毒され、腎臓で更に濾過され不要なモノが尿となって排出されるという一連の流れを考えると、これも繋がってきます。
 
このように、血液循環に関連する一連の流れは心と関係があり、心の機能の低下は、循環の不調となり肝や腎にも影響を及ぼしていくのです。
 
投稿者 古賀巌
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