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「おとそ」について

2018-01-05
お正月に「おとそ」を飲まれましたか?
「おとそ」は「お屠蘇」と書き、その由来は「蘇」という悪鬼を「屠」るという説や、邪を「屠」り生気を「蘇」生させるという説があるようです。現代ではお屠蘇を飲むというと、単に日本酒を飲むことを指す場合もあるようですが、本来、お屠蘇とは「屠蘇散(とそさん)」または「屠蘇延命散」と呼ばれる、何種類かの生薬を配合した漢方薬を漬け込んだ薬酒です。唐の時代の中国より伝えられ、平安貴族の正月行事に使われていたそうで、その後、江戸時代に一般庶民に広まった風習だそうです。
最近はお屠蘇を飲まなくなった家も多いようです。先日、テニスに行った折、大学生の子とお屠蘇の話題になったのですが、その子は「お屠蘇」の存在を知らず驚きました。
それはさておき、屠蘇散は薬草学の古文書「本草綱目」にも記載されているそうで、その処方には強心作用を持つ「烏頭(うず:トリカブト)」や鎮痛・麻酔作用を持つ「細辛」、瀉下作用を持つ「大黄」といった効果の生薬も含まれていたようです。現在ではこれらの生薬は処方から取り除かれて販売されており、構成生薬は「白朮」、「桔梗」、「山椒」、「防風」、「桂皮」、「陳皮」、「丁子」のものが多いようです。薬効薬理は、主に胃腸の働きを整え、身体を温める作用といったところでしょうか。
ただ、元旦に飲む分だけでは薬効まで実感するのは難しいところだと思います。やはり縁起物で使われるだけということでしょう。しかし薬効からみると正月の胃腸疲れや寒さに対抗するといった昔の人の考えもあったのかも知れませんね。
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