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胆のおはなし

2018-03-10
春になるとイライラしたり、そわそわ、くよくよしたりと気持ちが安定しない、といった方がいます。鬱々とした五月病のような症状もこの時期に出やすくなります。温かくなると心身の活動が盛んになり、それに伴って感情の起伏も大きくなります。また、春は生活環境の変化も多く、ストレスがかかりやすく、女性の場合はそれに伴うホルモンバランスの変化等も相まって精神が不安定になる事が多いのです。
 
春は肝が影響を受けやすい季節です。「肝は疏泄を主る」。気の推動を行い、情緒を安定させ精神を快適に保つのは肝の役割の一つです。また、「肝は謀慮を主り、胆は決断を主る」と言います。肝と胆は五行では木の属性に当てはまります。肝と胆は表裏をなす関係です。肝は深謀遠慮により物事を判断し、胆が決断するという関係です。
 
「キモが座る」「キモっ玉が大きい」「キモをつぶす」などという言葉は、「肝」や「胆」という漢字を当てます。中医学では、肝気が伸びやかであれば精神活動が活発になり、胆気が充実していれば決断を下せると考えられています。そのため、肝胆が弱ることでイライラや不安感、抑うつといった精神的な症状が出てくることになります。
 
中医学では「肝の病は脾胃(消化器)に及ぶ」と言います。ストレスなどの影響で肝臓がその機能を落とすと、その影響は胆汁を介して消化器にも及びます。そして、脾胃の働きが悪くなると水分代謝が悪くなり身体の中に湿邪が溜まります。湿邪が体内、特に胆に長く停滞すると、不眠、抑うつ感やイライラ、そして悪心や嘔吐といった消化器の症状の原因ともなります。
 
温胆湯(うんたんとう)という漢方薬がありますが、文字通り上記のような胆の不和から生じる症状に効果があります。胆に溜まった湿邪から発生した熱をとり、湿をとり除いて気を正常に運行させるようにします。ストレスなど肝胆の負担がかかったときに悪心などの消化器系症状が出る方や不眠症、神経症の方に用います。
 
投稿者:古賀巌
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