お屠蘇の話
クリスマスも過ぎ、今年もあっという間に残りわずかとなりました。今年は暖冬と言えど、これからまた寒波がやってくる予想。元気に新年を迎えるためにも、寒さや風邪にはくれぐれも注意して、今年残す日々も健康に過ごしたいものです。
さて。新年に向けて今日は、お正月に飲む「お屠蘇(おとそ)」について書きたいと思います。
もしかしたら、お屠蘇?なにそれ?祝い酒?って思われた方もいるかもしれません。
新年の祝いに飲むお酒であることはあながち間違いないのですが、このお屠蘇ただの祝い酒じゃないです!
お屠蘇は、漢方でも使われる生薬を組み合わせた「屠蘇散(とそさん)」をお酒やみりんで漬け込んだもので、
諸説あるものの屠蘇散は昔の中国の名医ある華陀(かだ)によって考案され、日本には平安時代に伝わったと言われています。
屠蘇散の中身は多くが漢方薬だけでなく香辛料としても馴染みのあるもので構成されており、主には白朮(びゃくじゅつ)、山椒(さんしょう)、桔梗(ききょう)、肉桂(にっけい)、防風(ぼうふう)ですが、他にも乾姜(かんきょう)、陳皮(ちんぴ)、丁子(ちょうじ)などが配合されている場合もあります。これらにより、体を温めて血行を良くし胃腸の働きを助け、冬場の感染症や風邪などの予防を期待できます。
「屠」は、屠る・邪気を払う。「蘇」は病をもたらす鬼・心身を蘇らせる。などの解釈があり、
お正月にその一年の無病息災を願ってお屠蘇を頂くのですが、その作法も地域や家庭によって様々です。
一般的な宴席と同様に、年長者から年少者に順々にすすめる場合もあれば、
若者のエネルギーを年長者に分けるという意味も込めて年少者から年長者に順々に進める場合もあります。
いずれにしても、これまでお屠蘇を飲む習慣がなかった方もぜひ2019年は、
新年の縁起や未病長寿を願ってお屠蘇を頂いてみてはいかがでしょうか?
【屠蘇散に入っている主な生薬】
白朮(びゃくじゅつ):
キク科オケラの根茎。温性・微香。
補脾益気、止瀉、利水により胃腸虚弱、浮腫み、関節痛、下痢に用いられる。胃腸薬や滋養薬の多くに含まれる。
山椒(さんしょう):
ミカン科サンショウの果皮。
温裏、止痛、駆虫により冷えによる腹痛や下痢に用いる。日本固有の香辛料。
桔梗(ききょう):
キキョウ科キキョウの根。平性。
止咳、去痰、排膿により咳嗽、咽喉脹痛、下痢に用いられる。呼吸器疾患の要薬であり、咳止めやのど飴の多くに含まれる。
肉桂(にっけい):
クスノキ科ケイの樹皮。大熱性。
補陽、温裏、止痛により身体や手足の冷え、腹痛(下腹部痛)、下痢などに用いられる。シナモン。
防風(ぼうふう):
セリ科ボウフウの根。微温性。
解表、祛風湿、止瀉により感冒、頭痛、関節痛、筋肉痛などに用いる。
今日も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
今年のブログはおそらく今回で最後になるかと思います。
皆様どうぞくれぐれも体調の変化にお気を付けて、良いお年をお過ごし下さい!
投稿者:古賀 梨紗子
